調査方法の概要調査方法の概要

調査の対象者と調査方法

1987年から2021年までに計10回の調査を実施しました。
図1のように、対象者によって、調査に初めて参加した年が異なりますが、新しく調査に加わった方は、いずれも、層化二段無作為抽出法という手法を用いて、全国から無作為に(くじびきのような方法で)選ばれました(注)

(注)地域を、地域ブロック(北海道、東北、関東など)と、人口規模の組み合わせで層に分け、各層における対象年齢の人口に応じて各層から何人の対象者を選ぶか(標本数)を決めました。対象者選択の手順としては、まず、全国から192の調査地点を抽出し、次に、各地点より、住民基本台帳を用いて該当年齢の個人を等間隔に抽出しました。

初めて参加した回に協力してくださった対象者には、死亡や協力継続を拒否された場合を除き、原則として、毎回、調査協力の依頼をおこなっています。もちろん、実際にご協力いただけるかどうかは、本人の自由な意思によります。第10回調査までに、7,892人の方が、1回以上調査にご協力くださいました。

調査の実施は、一般社団法人中央調査社に委託し、各調査年の9月~12月に訪問面接法でおこないました。対象者ご本人に対する面接調査を原則としていますが、第2回調査からは、ご本人が重い病気などでお答えになれない場合に限り、ご家族などへの代行調査(一部の項目のみ)を実施しています。

新型コロナウイルス感染症流行下で実施された2021年の第10回調査については、図1のE、Fの対象者には訪問調査を、A~Dの対象者には郵送調査を実施しました。訪問調査は、面接時間短縮のため、面接法と留置法(調査票を渡して記入をお願いし、後日調査員が訪問して回収)を併用しました。

以下、調査回ごとに、対象者について少し詳しくご説明します。

調査対象者の年齢 図
図1 調査対象者の年齢
<回答者の出生年>
A:1893-1927年(明治26~昭和2年)生まれ
B:1927-1930年(昭和2~5年)生まれ
C:1930-1936年(昭和5~11年)生まれ
D:1898-1929年(明治31~昭和4年)生まれ
E:1920-1952年(大正9~昭和27年)生まれ
F:1928-1961年(昭和3~36年)生まれ
第1回~第4回調査(1987年~1996年)

全国の60歳以上を対象とした第1回調査(1987年)には2,200人(回収率67.2%)が回答し(図1のA)、その後3年ごとの追跡調査をおこないながら、第2回(1990年)に60~62歳(図1・B)、第4回(1996年)に60~65歳(図1・C)の対象者が、新たに無作為抽出され、調査に加わりました。

第2回、第4回で、何人の対象者を新たに選ぶか(抽出標本数)は、それ以前に抽出された上の年齢層の抽出確率とほぼ等しくなるよう設定されました(第2回:580、第4回:1,210)。全国の60歳以上の方を偏りなく反映したデータとして分析できるようにするためです。

第4回までの調査に協力し(代行調査への協力を含む)、その後の追跡調査の依頼対象となった方は3,580人でした。

第5回~第7回調査(1999年~2006年)

1999年の第5回調査では、第4回調査までに参加した対象者A~Cの追跡調査を継続しつつ、70歳以上の2,000人が新たに無作為抽出されました(図1・D)。70歳以上の対象者が追加されたのは、後期高齢者の課題に焦点を当てたためです(→プロジェクトについてを参照)。新規対象者2,000人のうち、調査に回答した1,635人が追跡対象者に加わりました。

第6回(2002年)、第7回(2006年)調査では、新たな対象者の抽出はおこなわず、A~Dの対象者の追跡調査が継続されました。

第8回~第9回調査(2012年~2017年)

第8回調査では、対象者A~Dの調査を継続するとともに、新たに60~92歳の2,500人が無作為抽出され、調査に加わりました(図1・E)。新規対象者Eについては、第8回調査の回答者のうち、代行調査の協力者と次回以降の協力依頼に同意しなかった人を除く1,257人が追跡対象者に加わりました。第9回(2017年)調査では、新たな対象者の抽出はおこなわず、A~Eの対象者の追跡調査を継続しました。

第10回調査(2021年)

対象者A~Dについては、訪問調査は実施せず、健康状態等を尋ねる短い質問票を郵送し、730人中443人(61%)より返送がありました(代理記入を含む)。第8回調査から参加する対象者(図1・E)と、新たに無作為抽出された60~92歳の2,700人(図1・F)については、訪問調査(面接・留置法併用)を実施しました。新規対象者Fについては、第10回調査の面接調査に本人または代行者が回答した1,227人のうち、調査の継続に同意した8割程度が今後の追跡調査の対象となる見込みです。

面接調査の回答者数と回収率

実際に調査へのご協力を得た有効回答者数(代行調査への回答を含む)は、第8回調査まで、2,000~4,000人の範囲で推移していましたが、第9回調査では初めて2,000人を下回りました。これは対象者の高齢化に伴い、死亡により追跡を終了した人が増えているためです。第10回調査(2021年)時点までに死亡を確認した方は、図1の対象者A~Cでは2,674人(追跡対象者3,580人中)、Dでは1,301人(同1,635人中)、Eでは248人(同1,257人中)にのぼります。

回収率(代行を含む)については、調査回によって、新規に追加した対象者の有無や割合、対象者の年齢に違いがあるため、比較は難しいのですが、第1回は67%(代行調査は実施せず)、第2回~第6回調査は85%前後、第7回と第9回は75%前後、第8回は67%、第10回は54%でした。

近年は、プライバシー意識の高まりもあり、初めて調査をお願いする新規対象者の回収率が低く、第8回調査の新規対象者Eでは59%、第10回調査の新規対象者Fでは46%と大幅に低下しました。2021年10月~12月に実施した第10回調査については、過去の調査と比べても回収率の地域差が大きく、新型コロナウイルス感染症の流行状況が、訪問調査への協力に影響を与えた可能性があります。一方で、これらの調査回でも、以前から調査を継続している対象者については、75%以上の方にご協力をいただきました。

※詳しくはこちらの表1をご覧ください。

調査内容

対象者ご本人への面接調査において質問する項目は、心身の健康、家族、友人・近隣関係、就労・社会参加、生活習慣、医療・保健福祉サービスの利用、経済状態など、多岐にわたります。健康や生活の現状についてたずねる質問が多いのですが、家族観に関わる意識など、ご意見をうかがう質問もあります。

また、質問項目の大部分は、毎回、または定期的に(数回に1回程度)質問している継続項目となっています。一方で、そのときどきの社会情勢や研究動向に対応するため、特定の調査回のみで質問している項目もあります。

健康状態については、対象者本人の報告(質問への回答)に加え、第8回調査では初めて、握力、歩行速度、身長・体重について、調査員が客観的な数値を測定する「体力・身体測定」を実施し、第9回調査でも継続しました(第10回調査では休止)。

調査方法(第8回~)の詳細については、次の研究報告書に記載があります:

東京都健康長寿医療センター研究所『高齢者の健康と生活に関する縦断的研究-第8回調査(2012)研究報告書-』,2015年3月

  • 第1章 プロジェクトの概要および第8回調査の研究対象と実施方法(p.1-20)

PDFダウンロードPDF(530KB)

東京都健康長寿医療センター研究所『高齢者の健康と生活に関する縦断的研究-第9回調査(2017)研究報告書-』,2020年1月

  • 第1部第1章 第9回調査の研究対象と実施方法(p.1-18)

PDFダウンロードPDF(864KB)

※第10回調査(2021)研究報告書は、2023年度に公表予定

お問い合わせ

jahead@tmig.or.jp

【事務局】
〒173-0015 東京都板橋区栄町35-2
東京都健康長寿医療センター研究所
社会参加とヘルシーエイジング研究チーム
(担当:小林)