研究テーマ

65歳以上の高齢者人口の中で、日常生活を自立して過ごす高齢者は約8割(要支援・要介護認定者以外の高齢者)にものぼります。高齢化が進展し、高齢者人口がますます増加する日本では、これらの自立した高齢者の健康を支える地域保健システムが重要となります。また、こうした高齢者が、いきがいや生活の張りを持って毎日を過ごすためには、職業から退職した後も、地域社会の中で一定の役割を持ちながら、人々と交流しつつ活動的な生活を送ること、すなわち社会参加が活発であることも重要です。以上から本研究チームでは、「老化・虚弱の一次予防と地域保健」、「社会参加と社会貢献」という2つのテーマの推進に向けた研究を行っています。

老化・虚弱の一次予防と地域保健の研究

地域で介護予防の実をあげるには、一般高齢者に対する「ポピュレーションアプローチ」とハイリスク高齢者に対する「ハイリスクアプローチ」をネットワーク化した地域包括的な介護予防推進システムを構築することが重要です。地域では様々な方法で介護予防対策が進められていますが、それがどの程度効果があるものかは厳密に評価されてきていません。これまで行われてきた介護予防対策を多角的に評価し、真に効果のある方法を開発・提案していくことが求められています。高齢期の心身機能障害の一次予防に向けて、老化・虚弱に着目した新しい介護予防戦術を提案することを目標におき、いくつかの自治体と共同して地域高齢者を対象とした追跡研究や介入研究を行っています。現在、特に注力して取り組んでいる研究課題は次の3つです。

1. 虚弱の研究とそれにもとづいた新しい介護予防プログラムの開発
2. 地域における介護予防推進システムの構築と評価
3. 老化関連バイオマーカーを活用した老化予防のガイドライン作成

社会参加と社会貢献

東京などの大都市部では今後、団塊の世代が大挙して退職期を迎え年金生活者が急増する一方、一人あるいは二人暮らし高齢者世帯が増えていくと予想されています。文化施設や公共交通などの地域資源は豊富ですがソーシャルネットワークが弱まりつつある大都市部においては、元気で活動的な高齢者とともに老後の生活や健康への不安を抱える高齢者も増大すると予想されます。このような状況のもと、高齢者の社会参加に大きな期待が寄せられています。社会参加により自身のいきがいや健康が保持されるのみでなく、地域社会への貢献(地域福祉や世代間交流の促進)という大きな意義も有しているからです。こうした高齢者の社会参加と社会貢献の促進に向けた戦略と戦術の開発を行うため、次の3つの研究を行っています。

1. 高齢者の社会参加・社会貢献の現状と課題の整理
2. 新しい社会参加・社会貢献プログラムの開発と普及
3. 地域高齢者における社会的孤立の実態と予防策の提案

本研究チームでは、医学、看護学、栄養学、心理学、経済学、社会学といった多彩なバックグランドを持った研究員らが共同して研究にあたりながら、他研究チームとの連携や国際的な共同研究を推進しています。