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【第8回】BMIが20を切らないことが長寿の秘訣

東京大学高齢社会総合研究機構 
村山洋史

過去の記事(【第1回】【第2回】)では、体格指数(Body Mass Index; BMI)の推移についての研究成果を紹介しました。しかし、「今のBMIだと、将来長生きするのか?」という疑問をお持ちの方も多いかもしれません。今回は、ある時点のBMIが将来の総死亡率をどのくらい予測するかを検討した研究内容を紹介します。

長寿社会における中高年者の暮らし方の調査では、第1回(1987年)の調査以降、第2回(1990年)、第4回(1996年)、第5回(1999年)の調査で新しい対象者を追加してきました。その人にとっての初回の調査時点のBMIを基準にして、その後の死亡状況(最長25年)との関連を調べています。

BMIは、以下の7つの群に分けました:やせ(< 18.5 [全体の10.7%])、標準域低め(18.5?19.9 [13.1%])、標準域やや低め(20.0-21.4 [19.0%])、標準域やや高め(21.5-22.9 [18.6%])、標準域高め(23.0-24.9 [20.7%])、肥満域低め(25.0?26.9 [11.1%])、肥満域高め(≧27.0 [6.7%])。

その結果、「標準域やや高め(21.5-22.9)」と比べ、「やせ(< 18.5)」「標準域低め(18.5-19.9)」の群では死亡リスクが高いという結果でした。一方で、それ以外の群の死亡リスクには統計学的に有意な差異はありませんでした。つまり、BMIが20未満だと死亡リスクが高まりますが、それ以外のBMIでは、肥満であってもリスクは変わらないということです。

 年齢別(60-74歳と75歳以上)での解析では、60-74歳の層ではBMI<20で死亡リスクが高いという結果は変わりませんでしたが、75歳以上の層ではこの関連はみられませんでした。さらに、男女別での解析では、男性でBMI<20が死亡リスクであったものの、女性ではその関連はありませんでした。

 ただし、今回の対象者に重度の肥満者が少なかった(BMI≧30の人は全体の1.4%にすぎなかった)ことから、重度の肥満が持つ死亡リスクは検討できていない点には注意が必要です。また、BMIに限らず、人間の状態は日々刻々と変化していきます。ある時点の状態で将来が確実に予測できるわけではありませんので、たとえ今BMIが20より高くても、油断してよいというわけではありません。

 しかし、同じく日本人高齢者を対象とした他の研究と結果が一致していることから、「BMIが20未満にならないこと」を体重管理の目安にすることは一定の信頼性がありそうです。

図1. BMIと総死亡の関連

(注)追跡期間中(2012年12月まで)に死亡するリスクについて、「標準域やや高め」を基準(ハザード比=1)として示したもの。「標準域やや高め」に含まれる人に比べて、「やせ」に含まれるの人が死亡するリスクは27%(ハザード比=1.27)、「標準域低め」に含めれる人は19%(ハザード比=1.19)高いことを表している(棒は、ハザード比の95%信頼区間)。*は、統計学的に有意な関連であることを示している。

<出典>
Murayama H, Liang J, Shaw BA, Botoseneanu A, Kobayashi E, Fukaya T, Shinkai S. Age and gender differences in the association between body mass index and all-cause mortality among older Japanese. Ethnicity & Health. (in press) DOI: doi.org/10.1080/13557858.2018.1469737(2018年5月オンライン先行公開)

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