ブレインバンクとは
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ブレインバンクとは
アルツハイマー病やパーキンソン病などの老化性疾患は、脳や脊髄の神経細胞がうまく働かなくなるために起こる病気です。
このような疾患の原因や病態は未だ解明途上であり、発症メカニズムを明らかにし治療法開発へつなげるために死後脳研究は欠かせません。
ブレインバンクはヒト脳を系統的に蓄積し、疾患克服のために尽力する医学研究者へ提供することにより、今後の医療の発展に貢献しています。
ブレインバンクの必要性
老年性疾患のみならず、精神疾患や発達障害の病態解明は始まったばかりです。ヒト脳疾患の最終診断には、罹患された患者様の脳組織診断が不可欠です。ヒト脳に起こっていることは、ヒト脳を直接調べるは欠かすことができず、研究によって病態を明らかにし、治療や創薬につながっていきます。
海外では日本に先立ってブレインバンクの創設と活用が始まっています。欧米の特徴は、宗教的な背景もあり生前ドナー登録が盛んで、「Gift of Hope」(希望の贈り物)、「A Legacy of Donation」(篤志の遺産)などと名付けられ、次世代の病気を抱える患者さんに希望という贈り物をするという「祈り」が込められた活動となっています。米国や英国では、国家が研究費用を支出する国家事業となっています。
日本のブレインバンク
日本では、大学病院等での病理解剖や承諾を得た方々からのリソース蓄積は古くからありましたが、一つの施設内で完結していたため疾患の種類や症例数も限定され、幅広い研究成果に結びつくことが難しい状況が長く続いていました。
日本のブレインバンクは、神経病理学会が1997年に諸外国のブレインバンクを視察したのが始まりです。当時は欧米のブレインバンクに研究の試料提供を依頼していました。しかし、疾患の人種差は無視できず、知的財産の問題もあり、日本のブレインバンク設立の気運が高まってきたのが、2000年頃です。
日本の病理検索のきめ細やかさは国際的にも有名で、高水準のブレインバンク構築が可能です。また、欧米では脊髄は摘出しませんが、日本では、脊髄や一般臓器も保存され精緻な診断や研究の対象としているという優位性もあります。