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GFPinGSKO写真ー鈴木真佐子
小脳プルキンエ細胞特異的なGFPの発現
    GFP(緑色の蛍光を発するオワンクラゲ 由来のタンパク質)の誘導体のcDNAをG-substrate遺伝子のかわりに挿入してマウスを作出した。マウスの小脳の切片を蛍光顕微鏡下で観察した のが上図である。G-substrateは小脳プルキンエ細胞に特異的に存在する。プルキンエ細胞はマウスでは直径30μmほどの細胞であり、中枢神経系 でも最大級の大きさを持つ。小脳は運動学習、協調性、非陳述記憶に重要な役割を果たし、小脳プルキンエ細胞はこれらの小脳機能に必須であると考えられてい る。
 小脳プルキンエ細胞は小脳において観察される神経可塑性、長期 抑圧(long-term depression, LTD)において中心的な役割を果たす。小脳LTDは当時東京大学の伊藤正男(現・理化学研究所特別顧問;OIST副学長)によって発見された、日本オリ ジナルの神経可塑性である。また、神経伝達が減少する(抑圧される)神経可塑性の報告は小脳LTDが世界ではじめてであった。
 プルキンエ細胞にGFPを発現させることにより、細胞形態やプ ルキンエ細胞の神経線維を追跡することができる。上の写真では、プルキンエ細胞の細胞体が丸く観察され、樹上突起(dendrite)は細胞体から上方の 分子層に入っている。プルキンエ細胞体から下方へと向かうアクソンは、小脳核へと向かう”束”となっているのが観察される(左下から右上方へ向 かって)。プロモーターの下流にGFPを導入して、そのプロモーターの組織特異性を確認したり、また、目的とするタンパク質(A)とGFPを結合させた融 合タンパク質(GFP-A)として発現させる。A自身は光らないがGFPが蛍光を発するので、GFP-AとしてAの挙動を追跡することができる。
 光る細菌、酵母、ハエ、哺乳類細胞などが作り出され、様々な研 究に役立っている。遺伝子組換え技術により、光るマウスだけではなく、台湾のグループにより光るブタ(ここをクリッ ク )も作り出されている。